やれ将来像を示せと毎日のように連呼するしか脳のない読売、産経、地元ローカル紙・北國にしたって民主党パッシング以外の方向性が見えないのだから鳩山内閣のことをとやかく言う資格はないなと力いっぱい呆れる毎日が続いている。
まあ無責任な増税論者である谷垣を絶賛しているのだから程度が知れるというものだけど、それはさておき。
今回は私なりの景気対策の話など。
今日、つい一週間前には鋭くこれからの時代に切り込めるような社説を書ける日経新聞なのに、やっぱり自民擁護民主党パッシングを生業とする自民党広報誌らしく馬鹿みたいな記事を『経済』新聞に載せていて嫌になった。
曰く、円高基調は日本の新政権の責任だとか。
本当に経済新聞?
円が買われたのはドルが弱くなったから、以外の理由は存在しなくて、ユーロにしたって同じ。
世界中(特に先進国)が大不況の真っただ中にいるわけだから、より深刻な不況国のレートが下がっているだけで新政権とは一切、何の関わりもございません。現実的に新興国の株価は上がっているんだ。でも新興国のレートそのものが低いから分からないだけである。
そもそも『経済』新聞が政経分離という言葉を知らんのか。
まあ、だからと言って日本も大不況の波にまともに飲み込まれてしまっているんだけど、民主党が打ち出す景気対策とやらが見えてこない、と言われている。
ちゃんと取材して来いっての。アラ探しの取材は一生懸命やるくせに、こういう経済問題になると何も追及もしないんだから、今や大手新聞テレビはスキャンダル大好きの総芸能リポーターだな、とか思う。
ちなみに民主党を中心とした新政権が本当に景気対策をしていないのかというと、やってないことはない。
まず、どうして日本が大不況の波を一番、まともに被ってしまったかというと社会的構造に大問題がある。
さて、どういう状況を『景気が悪い』というのだろうか。
これは至極単純で、要は『モノが売れない』というただ一点である。
モノが売れなければ当然、企業にはキャッシュが入らない。
キャッシュが入らなければ従業員=消費者に給料を払えない。
消費者にお金が無ければ、消費者は当然買い控えする。
これの繰り返しが不況の一番の大本であり、ならどうやったら景気を回復させることができるかと言えば、もうお金を回し始めるしかない。消費者がモノを買い、企業にキャッシュを入れ、それを元手にモノを生産するか、さらに拡大するための設備投資に回す。
その設備投資もまた、『買い物』であるから他業者の恩恵にもなる。
ところが、日本は小泉政権以後の大失策で消費者にキャッシュを渡さない仕組みを常識化させてしまった。
少なくとも2003年以後2007年までは景気が良かったはずである。
にも関わらず、本来、会社にとってはその利益を生み出した生産者(=従業員)の給料を上げなかった。それも正社員で雇うことはなく非正規社員として期間労働者を増やし、もうかっていたにも関わらず、労働者の給料を抑える手段を取ったのだ。
それも大企業減税を中心に法人税のことごとくを抑えに抑えたのである。
お金が相当余る形になっていたにも関わらず経営者どもは己の私腹を肥やすことに専念した。
んで、この時期に物価も上がり、しかし物価の上昇に比べて収入がその水準に達しなかった消費者は何も買えなかった。
この根本が不況の根幹であり、さらに将来的に年金を始めとした社会保障についても杜撰な管理体制によって崩壊させ、国民は将来のために貯蓄せざる得なくなり、また子供一人育てるのが精一杯の年収になってしまったのであるから、これでは世にモノが溢れようが誰も手が出せない現実があり、加えて今のリーマンショックが直撃したのである。
で、前任の麻生総理はいったい何をやったのか。
自称・経済通でありながら本来、モノが回り始めるために消費者の方を救済させなくちゃいけなかったというのに、ただでさえ肥大化していた大企業寄りの政策に走ったのである。
これで回復すると思っていたのだから、頭の悪さは相当なものだと断言してもいいだろう。
言いかえれば企業向け政策が失敗したのである。
ならば景気を回復させるために残された手段はたった一つ。
消費者の購買意欲の喚起を促し、内需拡大を図るしかないのである。
しかし消費者は小泉政権以後の悪政により、負担だけを押し付けられ相当の疲弊を強いられていて、現在では失業率10%、ワーキングプア労働人口の2割という時代であるから当然、消費に回せる金銭は無い。
消費者の購買意欲を促進させるためには、もはや残された方法は減税と給付しかないのである。
それなのに、前政権は消費者の実感としての好景気が無かった2004年に『恒久減税』と銘打った所得税特別減税は廃止させた。ガソリン代高騰で消費者が苦しんでいた2008年に『暫定税』を復活させた。
これでは景気対策など打てるはずがない。
なぜなら消費者の負担だけを押し付ける政策しか出さないからだ。
今、本当に大切なことは消費者に多少なりとも余剰を与え、モノを購入しやすくすることに尽きるのである。
それゆえ民主党が打ち出した『子供手当一人当たり一ヶ月2万6千円』、『高速無料化』、『ガソリン暫定税廃止』はまさに今の時代に即した景気対策であると断言してもいい。給付、コストダウン、余剰の景気回復三大要素を確実に生み出す政策なのである。
馬鹿なエコノミストたちは『財源』の大合唱で批判するけど、巷ではかなりの好感触を持たれていることを知った方がいい。それは何もしなくても給付がもらえるから、なんて誰も思ってなくて、国が出すのだから税金の還元なんだ。国民のために使われる税金に何故批判的なのかの方が理解できない。ましてや財源は特別会計と膨大予算の見直しで捻出するのである。今年度より来年度、さらにその先と徐々に改善されていくだろうから来年すぐ結果を求めるのは愚かなこととしか言いようがない。
それでも新政権は無茶してでも子供手当半額給付、高速道路一部無料化開始、ガソリン暫定税廃止は2010年度から行う構えを見せている。
これが景気対策でないというなら何が景気対策なのだろうか。
大型公共投資政策は短期にしか結果を残さず、その先は負担増が見え見えで後々景気をさらに冷え込ませることを知っていたから投資家は8月17日のGDPプラス成長を無視したのである。
内需拡大策や(温室効果ガス25%削減目標による)大規模技術革新を促進させようとする現政権に投資家たちは今、見ていると言っても過言ではないだろう。
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