ネット社会というモノは想像以上に便利で、また情報を得やすくなっているから、テレビや新聞が恣意的に報道しない部分もあっさり享受できるので、大変、喜ばしいことであると同時に、大きな危険を孕んでいることを認識させられる。
例えば、最近話題の八ツ場ダムのことを言えば、テレビ新聞だと、推進派の意見ばかりを取り上げ、また推進派住民のお涙ちょうだいインタビューが延々と組まれている訳だが、ネットにはその裏側が既に流出している現実がある。
曰く、このダムの建設予定地は小渕優子の地盤だとか、
曰く、反対派住民の抗議電話が殺到しているとか、
曰く、実はあの会場に反対派住民は入れなかったとか、
曰く、大多数の地元住民には意見交換会の場所と時間を知らせて
なかったとか、
曰く、あの老婆のインタビューは推進派の町会議員の大根役者だとか、
本来、スポーツ新聞を含むすべての新聞に目を通さないと出てこない情報でもネットであれば、これだけ詳細に知ることができるのである。いわばユーザーの情報提供とでも言おうか。ちなみに上記4点はちゃんと新聞にも載っていることなのだ。
もう、これだけでも八ツ場ダム建設推進を訴えているのは、実は自民党系既得権益集団だけだということがバレバレで、ネット普及率全国75%という現実を思えば、もう既に大多数の国民は実情を知ってしまっていることになるから、誰もあのVTRを見て同情もしないし、冷やかな目で見てしまっているのである。
残りの25%が真に受けるかもしれないが、その中にも「何で50年もやってんだ?」と疑問を持つ人がいて当然で、そこまで作ったんなら完成させてもいいんじゃないか、なんて言えるほど作ってあるわけでもなく、実際のところ、本体工事にはまだ入っていないことさえ知られてしまっている。
マジで50年も何をやっているんだ、という声が実際のところ、多いのだと思う。
だから国交省の官僚は沈黙を守っている。官僚は、こういった情報が国民に知れ渡っていることを知っているから下手なことは何も言わなし、あからさまに建設中止反対の声を上げない。言ったが最後、それこそ、世論は民主党の官僚打破実現を全面的に後押しすることだろう。
故にこそ、国交省は早々と入札凍結を打ち出し、今は前原大臣の決断を待っているのである。この辺りはさすがにしたたかであると、ある意味、褒めるべきことかもしれない。
現に総選挙前の、全然当てにならない世論調査では民主党と自民党の支持率の差はわずか10%内という接戦で無党派層は40%を切っていたのだから、308対119などというトリプルスコアなんて結果はあり得ないのである。
結局、『住民の本当の声』というのはテレビ新聞に流れることはない裏返しで、真の情報を得るために75%の国民はネットをフル活用しているということになるのである。
その結果、大手メディアが何を言おうが、16年前と違って75%の国民はまったく騙されない状況にあると言えよう。
どうりで、2010年秋に旧政権は『インターネット情報規制法』なんてものを成立させようとするはずだ。
むろん、それは政権交代によって無くなったわけだが、個人情報保護法を皮切りに国民から知る権利を奪うことに奔走していた旧政権に今さらながら恐怖を感じてしまう一幕でもある。
しかし、これは逆に情報の流出が既に始まっている、ということでもあり、単純に旧日本政府の不甲斐なさは全世界にダダ漏れしていて、それを全く報道しようとしない大手メディアの広報ぶりも知られてしまっているし、選挙権を放棄し続けている国民の程度の低さもバレバレだということになる。
ひょっとして日本の国際的信頼が失墜していった真の理由はネット普及により、全世界が日本国内の情報を得やすくなったことなんじゃないかと思ってしまう。
他人の目を気にして生きる、なんてつもりはさらさらないけど、少なくとも他人の目(=国際社会の常識)から外れて、それを恥と思わないのはどうかと思う。
世界中が自分たちを見ているんだ、という自覚くらいは持った方がいいだろう。
というか、おそらく諸外国ではそういう意識はあるんじゃないかとすら感じられるのである。
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