私は地元が石川県で今も石川県に住んでいる。プロフィールには衆院選挙区で石川二区としてあって、だいたいどのあたりに住んでいるかは大雑把に把握してもらえるととってもありがたいんだけど、この地域には群馬の八ツ場ダムに勝るとも劣らない長期公共事業があって、その名を『北陸新幹線』と言う。
なぜ八ツ場ダムに負けず劣らずなのかと言うと、前に少し書いたけど、構想が出たのは今から44年も前の話で、金沢以東は知らないが以西となると橋桁一つなく、以東ですら橋桁くらいしかないのである。いったい44年も何をやっているんだという話で血税無駄遣いの現実を忸怩たる思いで眺めているのだが、今年の10月にダムと違って鉄道マニアだけに新幹線には優しいのか、前原国交相は追加工事の認可を出したのだ。
そして、そのことについて新潟県知事は下記のように申請を出したのである。
【北陸新幹線:新潟県知事「認可無効」と係争委に審査申し出】
14年度開業予定の北陸新幹線(長野-金沢間)の追加工事を国土交通省が認可したことについて、新潟県の泉田裕彦知事は6日、「県に意見聴取が行われておらず、認可は無効だ」として総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査申し出書を出した。手続きを認可前の段階に戻し、県に意見聴取をするよう勧告を求めた。
泉田知事は今年1月、国交省から同新幹線の建設負担金について約220億円の増額を求められたのに対し、説明が不十分などと反発、追加工事の認可への同意を拒んだ。
これに対し、前原誠司国交相は、泉田知事を含む沿線4知事と意見交換した翌日の10月9日、「開業を遅らせてはならない」として認可に踏み切った。
泉田知事は「情報開示がないまま上意下達で認可が強行された」と反発。前原国交相は6日の閣議後会見で「(泉田知事が言う)話し合いがないというのは事実に反する」と述べた。
同委員会への審査申し出は、横浜市が01年、日本中央競馬会(JRA)の場外馬券売り場への新課税に関して行って以来、2例目。泉田知事の言い分はよく解る。そんな44年も遅々として進まないモノで、しかも金沢以東ですら線路らしきものがないのに、2014年開通なんてどうやってやるつもりなのか理解に苦しむにも拘らず、まだ無駄に追加工事しようというのだから呆れてしまう。それも新潟県に対して220億円の追加負担を言っているんだ。だったら当然、追加工事の理由を知りたくなるものだろう。
ところが、前にも言ったけど前原国交相は話し合いでは何も喋らず、泉田知事の説明を一方的に打ち切ったのである。
これで納得できる人間がいたら、ぜひ、連絡をいただきたい。その理由を問い詰めてやるから。
で、今日の地元ローカル紙の二大巨頭『北陸中日新聞』と『北國新聞』は地方記事として、このことについて掲載していたのだが、メディアとしてちゃんと機能していたのは言うまでもなく、『北陸中日新聞』だった。さすがは今現在、民主主義の敵と化した大手メディアとは一線を画し、唯一、メディアとしての良識をいまだに持っている新聞である。
『北陸中日新聞』は上記毎日新聞が載せている記事からもっと踏み込み、負担増の説明のみならず、北陸新幹線に対する入札関連の不自然さも指摘して、北陸新幹線が談合の元の既得権益集団の温床になっていることを暗に謳っていた。
それに対して『北國新聞』は泉田知事が申し出を出したことは載せていたが、持ち寄った資料には目もくれず、単に民主党がちゃんと対応しないから愛想が尽きて自ら足を運んだと、争点を民主党批判に力いっぱいズらしている姿勢が、もう『北國新聞』はメディアではなくなっていることを如実に示していた。
これだけで間違いなく『北國新聞』は北陸新幹線利権から何らかの享受があると推測できても文句は言えないことだろう。
ちなみに二紙に共通していることは一つだけあって、北陸新幹線のメリット、いわゆる経済効果については何も載せていないのである。
むろん、メリットがないから載せられないだけなのだが。
前にも言ったけど北陸新幹線は沿線付近の住民にもすでに愛想を尽かれている公共事業である。
「え? まだやってたの?」とか「必要かアレ?」とか言われる始末で、いい加減やめてしまった方がいいと思うのだが、どうにも中止する気配がない。
いつまで血税を無駄に貪るつもりなのか知らないが、国や県、既得権益集団は、国民が知らないと思ったら大間違いだということにいい加減気付いた方がいい。
ましてや新政権は、なぜ旧政権が没落したかを一番近くで見てきたはずである。
それならば旧政権の悪しき慣習を打破することが仕事ではないか。
今のままでもよほどのことがない限り、参院選も新政権が過半数を握ることだろう。
しかし、大ネガティブキャンペーンを張られている今のままでは民主党単独政権にはなり得ない可能性は高い。
単独政権を目指すなら、旧政権の悪しき負債を断ち切る姿勢を見せる必要があるのではなかろうか。
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